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【2024年版】電子契約サービスの導入率・普及率を調査!シェアはどれくらいか徹底解説

直接出向かなくても契約ができる電子契約サービスは、離れている相手ともすぐに契約ができることもあって便利な反面、普及率は高いとは言えない状況です

実際のところ、まだ紙での契約を締結している企業も多く、政府も導入促進のための支援などをしていますが、さまざまな理由で導入を見合わせている企業もあります。

本記事では、電子契約サービスの導入率・普及率を調査しました。電子契約サービスの導入を検討している方はぜひ、参考にしてみてください。

この記事でわかること

・電子契約サービスの導入率は56.3%でまだ紙の契約を行う企業も多いのが実態
・電子契約サービスの導入率が低い理由は既存の業務フローとの統合が難しいことや取引先との合意が難しいこと
・電子契約サービスのメリットはコスト削減、業務効率の向上、セキュリティの向上

電子契約サービスの導入率は56.3%

デジタル庁 デジタル社会共通機能グループが出している「電子委任状法施行状況検討会 第2回 電子契約の普及状況等について」の調査によると電子契約サービスの導入率は56.3%です。

電子契約サービスの導入率は、約半数にとどまっているのが現状です。


参照:電子契約の普及状況等について

まだ紙で契約締結する企業も多いのが実態

電子契約サービスの導入率が56.3%ということは、残りの44%近い企業は電子契約サービスを導入していないということになります。

電子契約サービスを導入するためには、既存の契約フローを変更する必要があり、企業にとっては業務プロセスの変更や教育コストなどが原因で導入が難しく、まだ紙での契約締結が辞められない企業も少なくありません。

導入促進のための政府支援などの取り組み

電子契約サービスの導入を促進するために、政府もさまざまな取り組みを実施しています。

例えばデジタル庁の創設です。電子署名の正当性を確認する認証業務のうち一定の基準を満たすものについて認定制度を設けています。

また、押印廃止宣言が行われたことで内閣府が主導で押印見直しマニュアルなどを公開しています。

参照:書面規制、押印、対面規制の見直し・電子署名の活用促進について

実際に、各省庁や自治体でも電子契約サービスの導入を促しており、電子化の流れが進んでいると言えます。

電子契約の導入率が低い理由は?

なぜ電子契約サービスの導入率が低いのでしょうか。

ここでは、電子契約サービスの導入率が低い理由について詳しく解説します。

導入するための学習コストが高い

電子契約サービスの導入率が低い理由の1つ目は学習コストがかかるためです。

会社全体で電子契約を使えるように社員の教育を行わなければならず、そのための研修やマニュアル作成などが必要となるため、時間と手間がかかります。

また、電子契約サービスの導入にも費用がかかるため、導入するための敷居が高い状態となっています。

これらのコストや社員教育にかける時間と手間を考えると、わざわざ電子契約サービスを使うメリットを見出せない企業もあるのではないでしょうか。

導入後の質問対応やトラブルなどの業務負荷がかかる

2つ目は電子契約サービスの導入後に発生する質問対応やトラブル対応に、人手や時間がとられてしまうことです。

導入し始めたばかりのタイミングでは、どうしても質問やトラブル対応が多くなり通常の業務に支障が出てきてしまう可能性が高いです。

既存の業務フローとの統合の難しさ

3つ目は既存の業務フローとの統合が難しいことです

既に紙による契約フローが完成している企業にとって、電子契約の業務フローに置き換えることによって生じる新たな問題を解決しなければならないことも考えられます。

その場合には電子契約サービスを利用するメリットが感じられないこともあるはずです。

取引先の同意

4つ目は取引先の同意が得られないため電子契約サービスを導入できないことです。

例えば、取引先の企業の中には紙での契約締結にこだわっている可能性もあります。電子契約サービスは、あくまでも双方の合意がなければ成り立ちません。

そのため、自社が電子契約サービスを導入したとしても、相手側も電子契約サービスの利用をしなければ導入する意味がありません。

セキュリティの懸念

5つ目はセキュリティが確保されているかどうかの懸念があります。

2024年6月8日に株式会社KADOKAWAは、グループ会社のデータセンターのサーバーが身代金要求型のコンピューターウィルス(ランサムウェア)によるサイバー攻撃を受けたことによるシステム障害が発生したことを発表しました。

6月28日には「ランサムウェア攻撃による情報漏洩に関するお知らせとお詫び」を発表し、その中に取引先との契約書の情報が漏洩したことも公表しています。

参照:ランサムウェア攻撃による情報漏洩に関するお知らせとお詫び

電子契約サービスによる契約書の情報が漏洩したかどうかは分かりませんが、こうした情報流出のリスクがあることは認識しておいたほうが良いかもしれません。

電子契約サービスを導入するメリット・理由は?

電子契約サービスを利用するメリットとデメリットをしっかり確認して、より自社にとってプラスとなる方法を選ぶことが重要です。

ここでは、電子契約サービスを導入するメリットや理由をご紹介します。

コスト削減

メリットの一つ目は紙の契約書を電子契約にすることで、コストを削減できるという点です。

電子契約サービスを利用することで削減できるコストは印紙税が不要になる・事務用品が不要になる・郵送費がかからない・契約書を保管するスペースが不要になるといったものが挙げられます。

業務効率の向上

メリットの二つ目は全てのやりとりがネット上で完結するため、業務の効率が向上することです。

電子契約サービスを利用すると、契約書の作成、署名、送付をオンラインで迅速に行うことができます。これにより、郵送や対面での署名が不要となり、即時処理が可能になります。また、契約の締結期限を自動で通知してくれるリマインダー機能により、締め切りを逃すリスクが軽減されます。

セキュリティの向上

メリットの三つ目は暗号化技術によるセキュリティの向上です。

電子契約サービスは高度な暗号化技術を使用して契約書の安全性を確保します。これにより、情報漏洩や不正アクセスのリスクが軽減されます。また、多くの国や地域で電子契約は法的に有効と認められているため、コンプライアンスの維持が容易になります。

電子契約サービスの市場規模について

続いて電子契約サービスの市場規模に関して、今後の成長も含めて詳しく解説します。

将来的にどこまで市場が成長するのかといった予想をもとに、電子契約サービスの導入を検討してみてください。

2021年の国内電子契約サービス市場規模はおよそ140億円

電子契約サービスの導入企業は、2021年には半数を超えた程度ですが、市場規模はおよそ140億円となっています。前年度比でみると56.1%増とかなりの増加と言えます。

また、2022年にも伸び率は多少落ちるものの46.1%増となり、国内の電子契約サービスは年々市場規模が拡大していることがわかります。これらの数値からわかるように、電子契約サービスを導入する企業は年々増えています。

また、政府の後押しもあるため、紙での契約締結にこだわる企業は減少していくことが予想されます。「取引先の同意が得られない」という理由で電子契約サービスが導入できないでいた企業も、逆に電子契約サービスを取り入れなければ、置いて行かれることになりかねません。

→参照:https://www.itr.co.jp/topics/pr-20221027-1

今後も市場規模は成長し2026年度には453億円に達する予測

電子契約サービスに関しては、今後も市場規模は拡大していくことが予想されています。2021年には140億円程度だった市場も、2026年には453億円に成長する予測です。たった5年程度で、300億円以上の成長が見込まれる市場です。

とくに紙での限界を感じている企業や、地方在住の社員が多い企業、日本全国・海外での取引がある企業などは、電子契約サービスの導入に踏み切ることも時間の問題です。

中小企業に関してはコスト面でのデメリットもありますが、取引相手が電子契約の導入に踏み切る場合にはいつまでも避けてはいられません。そのため、今後市場が拡大することはあっても、縮小することはないと言えます。

市場成長の背景

電子契約サービスの市場が拡大すると予測されていても、なぜそこまで急激に規模が大きくなるのか疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。

実際のところ、多くの企業でデジタルトランスフォーメーションの推進がされていることが大きな理由です。

昔のように長時間の労働が難しくなっているため、少ない人員で多くの仕事をこなすには業務を効率化する必要があります。業務時間内で仕事を終わらせるためには、できるだけ業務を簡略化し、時間を有効に使わなくてはなりません。
また、コロナ禍になったころからリモートワークが普及してきています。コロナ禍が収まってからもリモートワークのままで仕事をする人が多くいるため、電子化の市場が拡大しつつあります。

まとめ

本記事では、電子契約サービスの導入率や、導入が難しい理由、導入によって得られるメリットについて詳しく解説しました。電子契約サービスの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

近年、さまざまな分野で電子化が進んでおり、電子契約を導入する企業が増えています。電子契約サービスを活用すると、遠方にいる相手とも迅速に契約を締結できることが大きなメリットです。

従来の紙の契約書では、契約書を郵送する必要があり、契約締結に時間がかかりました。訂正箇所があればさらに時間がかかってしまいます。しかし、電子契約書なら即座に訂正が可能で、時間の無駄がありません。また、ひな形を用意しておけば、多少の変更だけで契約書を作成できるため、時間や労力の節約にもつながります。

今後も電子契約サービス市場は拡大し、導入企業が増加すると予想されます。業務の効率化を図るためにも、一度は検討する価値があるはずです。

この記事のまとめ

・電子契約サービスの導入率は56.3%でまだ紙の契約を行う企業も多いのが実態
・電子契約サービスの導入率が低い理由は既存の業務フローとの統合が難しいことや取引先との合意が難しいこと
・電子契約サービスのメリットはコスト削減、業務効率の向上、セキュリティの向上